もしも、痛みがなかったら、人は物理的に壊れてしまいます。

たとえば、壁に手をぶつけたら痛くて手を引っ込めます。でももしも痛みが無ければ、そのうちに骨が砕けてしまいます。痛みや不調は生体が発する『止まれ』のレッドカードです。

 

 東洋医学では、人の体には脈と言われる大きな流れがあるとされています。縦に流れる「経脈」、経脈から枝分かれする「絡脈」の二種類で構成され、合わせて「経絡」と呼ばれます。

脈というのは生きるために必要な代謝物質(気、血、津液)の流れとされており、それぞれの脈は対応する内臓などが決まっています。例えば胃には胃に対応した経絡(脈)、肺には肺に対応した経絡があります。

※1.『氣』気力・気合・気分などと、使われます。気は推進力。動力です。『血』血は、エネルギー。栄養です。赤く、豊かに体を潤します。頬は薔薇色に、手足は温かく。『津液』血液以外のすべてを指します。尿・汗・唾液・・などです。

体の不調とは、流れるべき経絡に滞りが出来た時に起こります。気血が滞り老廃物が溜まるなどの状態が起きた時、体は不調を訴えるのです。

経絡上には「穴」と呼ばれる、いわゆるツボが存在します(一部外れた所にもある)。穴は体のやる気スイッチのようなもので、鍼や灸などで刺激することで滞った経絡の流れを活発にし、不調の原因となった滞りを解消させます。これが鍼灸治療です。

当院ではこの考えを中心に施術を行います。

これに対して特に急性期の炎症などに見られる、局所に炎症物質や発痛物質などが血流を介して集まっている場合は、局所に対し刺激を与えることで血管拡張作用を用いて局所の炎症物質や発痛物質を増加した血液により除去する方法もあります。

例えば、『炎症』での痛み その仕組みは・・・

 炎症とは、体に侵入した異物を除去し、損傷をうけた自己組織を修復する一連の生体防御反応です。一般に、発赤・熱感・腫脹(身体の一部がはれること)・疼痛・機能障害を伴います。

微生物が侵入すると細胞より、炎症を起こす化学物質の放出※2、細動脈の拡張、毛細血流量の増大(=発赤・熱感)毛細血管壁の透過性亢進※3が行われます。

※2.組織へたんぱく質の拡散と体液が浸潤(=腫脹)更に、発痛物質も放出されます。

※3.血管と血管外での物質の出入りがいつもよりも起きやすくなるという意味です。これにより免疫系のマクロファージや白血球などの細胞が血管をすり抜けて、炎症部位へと到達出来るようになります。

この一連の反応は、血流を介して行われます。血流に乗り、発痛物質が患部に集まる訳です。疼痛は、炎症を知らせてくれます。痛みが出たら安静にしましょう。


例えば肩こり・・・寒さ、興奮する、エネルギーが足りず筋がこわばる、空咳、イライラ、長時間の不良姿勢、怪我などにより、肩首の周囲に十分な血液が回らず、筋が硬くなることが原因。

例えば腰痛・・・腰部の冷え、体力不足や、加齢による血流の滞り、急な動作により筋に過度の負担がかかった、筋の部分断裂、関節組織の損傷、老化などが原因。

 痛みを感じている局所では、血流を介して、痛み物質が集まっています。その物質を取り除けばよい訳です。鍼や灸で患部周辺に刺激や熱を与えることで滞っている血流を促し、集まっている痛み物質を患部から流し出すことで痛みを取り除きます。流れ込む血液は、栄養分を沢山含んだものです。局所の快方に拍車がかかります。


鍼灸の仕事は標治と本治。標治は局所治療。本治は原因治療です。局所に血流を促す、患部誘導法。局所から浸出液などをリンパなどへ誘導する、健部誘導法。いづれの場合も、『気血津液』の滞りを改善することが本質です。本治も、ポイントは『気血津液』。痛みの原因となっている場所を探り、滞りを解消します。『通ざれば、痛み。通じれば、痛まず。』中医学の基本的な考え方です。

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